猿石

指定文化財「猿石」 飛鳥時代の造形物

高取城の二ノ門を出て、城下町へ下る大手筋と明日香村方面へと続く岡口門の分岐点にひっそりと佇む。城の石垣に転用するため飛鳥から運ばれてきたという説や、郭内と城内の境目を示す「結界石」であるという説が残されている。明日香村・橿原市・高取町が文化庁より認定を受けた、「日本遺産」を構成する高取町の指定文化財。

高さ85cm、幅75cm、厚さ65cm。猿を想わせる大きな面相に、材質も花崗岩であることから、明日香村の吉備姫王墓に置かれた4体の猿石と同類の石造物と推定される。なお、光永寺の前庭に置かれた人頭石もまた、これら5体の猿石と共に欽明天皇陵に並んでいたと考えられている。文化庁「日本遺産」のストーリー資料「日本国創成のとき ―飛鳥を翔(かけ)た女性たち―」によれば、製作は飛鳥時代、斉明女帝がおもてなしの場を盛り上げるよう造らせたオブジェとある。やや挙がった右手の下だけでなく、欠けた背面にも何かが彫られていたような形跡が確認でき、猿石が乗せられた台座は古墳の石材と見られる。郭内と城内を分ける「結界石」として置かれたとされる猿石は、かつて猿を馬の守り神とした厩猿信仰に基づき、高取城の守護をも兼ねた存在なのかもしれない。

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