常楽寺 みがわり地蔵

常楽寺

奈良の昔話として語り継がれる「身代わり地蔵」は、谷田地区の常楽寺に安置されている。かつての村には寺の年貢米を育てる田があり、上と下で半分ずつ田を世話する作人が2人いた。ある夜、下の作人が自分の田から水を盗んでいると疑った上の作人は、夜の山で待ち伏せして怪しい人影に矢を放つ。翌朝、寺を参るとその矢は地蔵に突き刺さっていたという。

10枚ほどの小さな田があった池の谷は水利が悪く、上の田に比べて下の田はいつも水不足だった。それにも関わらず、信心深い下の作人は、上の作人より多くの米を寺に納めていたという。日照りが続いたある年の朝、上の田には水がないのに下の田だけは一面に水が満たされていた。上の作人は、下の作人が夜な夜な水を取っているに違いないと思い込み、弓矢を持って夜の山で待ち伏せる。すると、上の田に来る人影が見えたので矢を放ち、手応えを感じて家路についた。翌朝になって田を見に出た上の作人は、下の作人が元気に働く姿に驚く。上の作人は昨夜の話を詫び、2人で参った寺で横に倒れた地蔵を目にする。その肩には折れた矢が突き刺さっており、それ以来地蔵は「身代わり地蔵」と呼ばれるようになった。今も地元の人々によって守られている木造地蔵菩薩立像は、奈良県教育委員会が行った平成25(2013)年の調査により、制作は平安時代の中期と判明。貴重な古像として注目を浴びる。

関連リンク

奈良のむかしばなし 身代わり地蔵 [奈良県ホームページ]

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