カンジョ古墳

カンジョ古墳

直径20m前後の円墳と見られていたが、平成20(2008)年の再調査によって一辺およそ36mの方墳と判明した。特筆すべきは横穴式石室の天井が極めて高いこと。明日香村の石舞台古墳(高さ4.8m)をも凌ぐ、5.27mという県最大の高さを誇る。同集落の鑵子塚古墳、寺崎の白壁塚古墳と共に、与楽古墳群として平成25(2013)年に国史跡となった。

貝吹山の南麓に築かれた古墳は墳丘の崩落が激しく、原型や規模が分からないために円墳と思われてきた。ところが、高取町教育委員会が国の史跡指定を目指して行った再調査により、二段構造の方墳であったことが明らかに。古墳の床面に堆積していた土砂を除いたところ、石室の天井高は5.27mにまで達することも判明した。床面からは副葬品のミニチュア土器片など、渡来人系の古墳に多い遺物が出土しており、床面の中央には木棺を載せる棺台の跡も検出された。埋葬施設は両袖式の横穴式石室。石室を包む四方の壁には石が4~5段に積み上げてあり、高く取った天井部分は一枚の巨石から成る。このような石室の構造や渡来系の出土遺物は、カンジョ古墳が東漢氏の首長墓であった可能性を示唆する。更に平成27(2015)年の調査では、石室の入口を閉じる石の下から7世紀末~8世紀初めの土器片が出土。古墳の築造は6世紀末~7世紀初めと推測されるため、その約100年後に追葬があったと見られる。

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